親和的情報空間の自動構築・保持・更新に関わる分散視覚処理モジュールとして、平成15年度はまず、環境内移動人物追跡・認識エージェント、3次元物体認識エージェント、移動物体検出・追跡エージェント、対話型コミュニケーションエージェント等のプロトタイプ試作を行い、Visual C++で記述されたソフトウェアモジュールとして、PCを結合したシステム上に実装した。さらに、鹿児島大学工学部情報工学科の実験室内(天井部、PC前・上)に設置したカメラ群、及び新たに購入した自律移動ロボットに搭載した無線カメラから得られる映像シーンを用いて性能評価実験を行った。 このシステム構築の一環として、シーン中で随時測定した明度ヒストグラムに混合分布モデルを当て嵌め統計的パラメータ推定を行った結果に対し、Kullbackダイバージェンス(相対エントロピー)を用いて変化判別を行うことによる、シーン状態変化の自動認識技術、移動人物追跡処理により時々得られる複数の特徴量を基に信頼度を算出し、ベイジアンネットワークの枠組みを用いて統合することによる、分散協調人物識別技術、天井カメラ映像からの移動物体検出・追跡の際に用いるテンプレート領域の、自動学習・適応的更新技術、状況認識結果のネットワーク結合された外部PC上へのリアルタイム呈示技術、口部周辺の明度分布解析による口パターン認識に基づく対話的コミュニケーション技術を各々開発し、複数の人物が存在する屋内シーンにおける実験により有効性を確認した。 以上の研究成果を、技術論文1編、研究会発表1編、国際会議発表1編に纏め、公表を行った。
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