平成16年度は、非剛体として、(1)水、と、(2)人物像、の2種類を検討対象とし、それぞれの挙動を画像処理により認識するとともに、仮想的3次元空間において再現する方法の検討を以下のように行った。 (1)水面を観測するカメラ画像を解析し、Bump mappingを用いて水面形状を再現する方法の検討を進めた。Bump mappingを行うためには、水面における多数の点に対する法線ベクトルを前述の画像処理により推定する必要がある。そこで、水面を観測するカメラにより獲得される画像に対して、Shape from Shadingを施し、水面の3次元形状を推定する手法の検討を進めた。通常のカメラは透視投影モデルで表現されるのに対して、Shape from Shadingはカメラモデルとして直交投影を前提としている。このため、3次元形状復元の精度が悪化する問題があった。この問題を解決するためには、画像の画素に対応する視線毎に、水面までの距離を変動させ、これに基づきBump mappingを用いて水面画像を生成し、原水面画像と比較して、最も類似した水面生成画像を与える視線毎の距離の組み合わせを求める方法が考えられる。しかし、一般に画素の数は多く、この方法では膨大な数の組み合わせを計算対象とする必要があり、現実的ではない。そこで、本研究では、このような組み合わせ最適化の問題を効率的に解くことが可能な遺伝的アルゴリズムを用いることにし、良好な結果の見通しを実験により得た。 (2)人物全身像の画像処理による3次元姿勢推定法の検討を進めた。人体パーツに対応して色分けした衣服を着用した人物を複数カメラで観測し、色彩情報により人体パーツを抽出する。パーツ領域の画素数の大きい2つのカメラ画像を選択し、パーツの形状を解析して、関節に対応する特徴点の3次元座標を求める手法の有効性の見通しを得た。
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