研究概要 |
(1)マルチチャンネル・ビジョンシステムの基本部を狭帯域液晶チューナブルフィルタと本申請によるモノクロCCDカメラ(Retiga 1300),パソコン(Thikpad 237361J)で構築した.このシステムの特徴は,(1)分光画像が約20-30nmと狭帯域で,しかも帯域が可変であることと,(2)ダイナミックレンジが12ビットと広いことである.従来システムより機能は大幅に改善している.なおカラーフィルタによる分光システムを同じカメラ系を用いて構築している. (2)総合したシステムの分光特性の正確な知識が必要なため,モノクロメータを用いて実測に基づいて特性を決定する技法を開発した。まず各種フィルタとレンズの分光透過率,CCDカメラの分光感度を求め,これよりカメラ系の総合的な分光感度を決定した.次にフィルタを制御しつつ分光画像を自動的に計測するシステムを構築中である.特に分光画像は暗いので,12ビットの広いレンジで画像データが獲得できるように設定している. (3)マルチチャンネル画像データから照明光の分光分布と物体表面の分光反射率を高精度で推定するためのアルゴリズムを検討した.(i)センサからの直接推定法,(ii)基底関数を用いる方法,(iii)Wiener推定法,の3つの方法について観測条件と推定精度等の点から評価中である. (4)3次元光反射モデルとして適したモデルとしてここではTorrance-Sparrowモデルを選択した.カメラデータから反射率や表面粗さを含むモデルのパラメータを推定する方法を検討した. (5)本ビジョンシステムの応用として,[1]油彩絵画の表面特性の計測と画像レンダリング,及び[2]自然環境下の全方位光源分布の獲得問題への適用を試みた.
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