研究概要 |
[目的と内容] 本研究では、衣服の着心地の快適性の一要因である服地の肌触りを評価するための肌触り計測装置を構築し、着衣時における衣服と人体との接触に伴う着心地が評価できるシステムの開発を行う。開発した計測システムによって、布地が人体に触れることによる人体への影響を生理・心理反応を測定することによって評価する。そのためには、人間の風合い評価時の触診動作の特徴を特定する必要がある。本研究では指先の触診動作を把握するために、圧力分布センサと3軸加速度センサを指先に装着したグローブ型センサを作成した。布の風合い評価時における指先の圧力と加速度を計測し、評価項目特有の触診動作の特定を行った。 [成果] 人間が布を判別する時に行う手指の触運動の特徴を検討するために,20〜30歳の男性5名及び女性5名が触運動を行っているときの布に対する押荷重値,押荷重値の変動係数,手指の移動速度,速度の変動係数,触診範囲,触診時間及び移動距離を測定した.そして,布判別時の触運動方法や布判別能力における男女間の相違を考察した.その結果を以下に示す.(1)20〜30歳の男性5名及び女性5名の測定結果より,布判別時の押荷重値は,男性が女性より大きくなる傾向が見られた.(2)被験者が布を判別するときに二つの触診方法(片面評価法と両面評価法)で判別を行ったが,女性グループの布判別正答率は片面評価法(A)で76.7%,両面評価法(B)で73.3%,男性グループは片面評価法(A)で60%,両面評価法(B)で60%となり,男女間に差が見られた.(3)布判別時における触運動の影響は男女間で差が見られ,これが布判別正答率に影響を与えている可能性が提示された.すなわち,本実験に参加した20〜30歳の男女被験者各5名の結果より,布を判別するとき,女性は男性より能動的な触診動作を行う傾向が見られた.
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