研究課題/領域番号 |
15500136
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐々木 仁 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40104236)
|
研究分担者 |
福田 淳 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90028598)
沖田 庸嵩 札幌学院大学, 社会情報学部, 教授 (70068542)
小川 嗣夫 京都学園大学, 人間文化部, 教授 (20101222)
浅田 博 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (50151030)
井上 徹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60263282)
|
キーワード | 反応時間 / 色覚刺激 / 左右差 / 視覚 / 弁別 / 言語処理 / 主波長 / ヒト |
研究概要 |
脳の機能的左右差に関しては多くの研究があり、左半球は、文字、記号等の言語処理、および分析処理、右半球は絵画、音楽、情動、および統合処理が優位であることが知られている。一方、視覚刺激の輝度変化等の低レベルの感覚情報処理に関しては左右差はないと考えられてきた。これに対し私達は、色彩情報の検出処理には右半球優位の明瞭な左右差があることを報告してきた。今回、言語をてがかりとしない非言語性の弁別課題を実施し、色彩刺激の弁別処理における左右差について新たに被験者を追加して詳細に調べた。被験者は隔離された実験室内で、顎のせ台を使用して頭部を固定し、眼前のCRTに面して座った。視覚標的刺激として、視角2°の主波長の異なる3種類の有彩色の円(赤:570nm,緑:535nm,青:445nm、彩度はいずれも60%)、または3種類の無彩色(12、14、18cd/m2)を無彩色(10cd.m-2)の背景上に提示した。3種の色彩刺激の輝度は背景の無彩色と等明るさになるよう、予め交照法を用いて被験者ごとに調節した。標的刺激は凝視点から左右いずれかの視野の水平方向に4°の位置の上下に同時に2つの有彩色または2つの無彩色を提示した。各セッションの開始前、被験者には提示される2つの刺激が異なる場合に同側の手でキーを押すよう教示した。1セッションは48試行からなり、合計4セッション(無彩色、有彩色X右視野、左視野)を無作為な順序で実施した。非言語性の弁別反応時間は有彩色、無彩色ともに、右視野-右手条件(RR)での反応時間が左視野-左手条件(LL)に比べて短い傾向が観察された。弁別反応時間から単純反応時間を差し引いた正味の弁別時間は有彩色ではRR条件がLL条件に比べ有意に短かく、一方、無彩色では両条件間に有意な差は見い出されなかった。本研究では、色彩処理の弁別処理における左右大脳半球の機能差について検討した結果、非言語性の色彩刺激の弁別処理時間は左半球優位であることが示唆された。
|