研究課題
基盤研究(C)
ニューラルネット(NN)工学で周知の「刈り込み」による淘汰原理は、自然脳の機能究明のためにも、結合・統合や内部モデル生成との関係で重視する必要がある。この具体化が本研究全体に共通する目的である。安井のCSDFと呼ぶアルゴリズムを軸に、以下に取り組んだ。(1)アナロジー学習・類推用ニューラルネットワークアナロジーによる理解や発想は、分析や論理を伴わず瞬時的であることが多く、脳機能の何かを反映している。NNによる従来の試みはAI的に硬直した処理形態を残し、「組み合せ爆発」の問題をかかえながら中途半端に終わっている。我々は本格的なアナロジー学習NNを開発した。この鍵となるのは、「CSDF刈り込み」で、これにより抽象化内部モデルが自律形成され、それはアナロジー記憶として新規データに対しての選択的アトラクターとして柔軟に働く。本テーマは、複数アナロジーや無関係データを含むDBを対象にした発展研究であり、抽象化モデルや記憶アクセス・照合を包含した結合・統合の脳モデルの例として一定の成功を収めたと考える。(2)独立成分分析(ICA)用オートエンコーダ・ニューラルネット我々のICA方式は、砂時計型NNにCSDF刈り込み機構を施したもので、他法とは異質の非情報理論的、非恣意的なアプローチである。刈り込みに生き残った非線形隠れ素子で源信号が自動再生される。外界における信号の混合状況は内部モデルとしてデコーダ部に自律生成される。次の観点より本方式の発展的応用を概ね成功裏に行った。◆ロバスト性/適応性(センサ突然故障、源信号突然増加)◆時変混合◆コンボリューション混合。(3)SOMにおける「刈り込み」の試みSOMを一般化した「mnSOM」というものを我々は最近提案したが、そこでの競合学習にCSDF刈り込みを用いることを考えた。この部分の実績は未だ出ていない。
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