研究概要 |
身振り記述 我々は自動認識過程を支援するために、身体が占める空間と身振りの傾向に基づく24種類の静的な姿勢特性および、動きの方向を特徴づける9種類の動的な特性を提案した。これらの特性の顕著性は、種々の統計学的方法、ことに判別分析によって確認された。感性工学において、感情を表す身振りや姿勢がほとんど研究されていない現状を鑑みると、これらの成果は非常に意義深いものである。 我々は、Categorizing and Learning Modules(CALM)に基づく範疇化ニューラルネットワークを確立した。このシステムは、教師あり学習機構と教師なし学習機構を統合することにより、異なる感情の身振りの区別を逐次的に学習する。本システム確立に際しては、神経科学における研究に従って、ニューラルネットワークのトポロジーを一部変更し、姿勢の動的な記述と静的な記述の水平方向の相互作用を、入力よりも一段高い階層で操作できるようにした。本システムの調整と頑健性のテストに当たっては、以下のように広範な研究を行った。まずネットワークの訓練には、4種類の異なる感情(怒り、恐れ、幸福感、悲しみ)を表す183種類の感情の身振りを用いた。その後、訓練データに種々の程度のノイズを加えて30組183種の身振りを作成し、ネットワークのテストに用いた。分類の成功率は平均80パーセントとなり、文献(Coulson,2004;Picard,2004)に報告されているものより遥かに高い成績を達成した。 感情を表す姿勢の認識における文化的差異 異なる文化的背景を持つ60人の被験者(日本人、スリランカ人、アメリカ白人)を対象に実験を行った。その結果、恐れに関わる姿勢の認識と評価においては文化間に統計的有意差を認めなかったが、怒り、幸福感、悲しみの強さの評価においては文化間に有意差を認めた。
|