研究概要 |
本研究は,ソフトコンピューティングの高齢者福祉分野への適用拡大をはかり,問題解決に有効な情報の抽出を行い,当該関係者への参考に資するとともに,その有用性を示すことを目的としている.具体的には,近年普及の著しいインターネットサービスのうちWWWに焦点を絞り,高齢者にとって見やすいWebコンテンツを作成するときに役立てるための,視認性に関する心理的あるいは生理的なデータの取得と,それに基づく視認性評価モデルを構築すること目標としている. 平成15年度は,主に以下の点を実施した. (1)照度制御可能な実験用ブースの中に,刺激表示用CRTディスプレーと被験者応答用マウスを設置した実験環を整備した. (2)被験者に出来る限り負荷を与えず,より効率的に心理実験(一対比較)データの取得を行うための刺激呈示用ソフトウエアについて検討し開発を行った. (3)上記実験システムを用いて,(a)無彩色ウェブセーフカラーのコントラストに関する視認性について,若年健常者20名を被験者とした心理実験を行った.(b)有彩色ウェブセーフカラーを背景とした無彩色文字の視認性について19人の若年健常者を被験者として心理実験を行った.(c)並行して,多くのウェブサイトで用いられている白色背景での有彩色文字の視認性についても10名の若年健常者に対して心理実験を実施した. その結果,(a)の無彩色実験では,背景と文字のコントラストから,心理実験の結果を予測できる可能性が示唆された.(b)についても,(a)と同様の傾向が得られた.(c)については,コントラストだけでは心理実験の結果を予測することが難しく,色相を考慮する必要があることがわかった. 来年度は,幅広い年齢層,特に高齢者を対象にした心理データの取得と,ソフトコンピューティングの手法を用いた視認性評価モデルについて検討する予定である.
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