研究概要 |
本研究は,ソフトコンピューティングの高齢者福祉分野への適用拡大をはかり,問題解決に有効な情報の抽出を行い,当該関係者への参考に資するとともに,その有用性を示すことを目的とし,近年普及の著しいインターネットサービスのうちWWWに焦点を絞り,高齢者にとって見やすいWebコンテンツを作成するときに役立てるための,視認性に関するデータの取得と,それに基づく視認性評価モデルを構築した.具体的には, 1 照度制御可能な実験用ブースの中に,刺激表示用CRTディスプレーと被験者応答用マウスを設置した実験環境を整備した. 2 被験者に出来る限り負荷を与えず,より効率的に心理実験(一対比較)データの取得を行うための刺激呈示用ソフトウエアについて検討し開発を行った. 3 上記実験システムを用いて, (1)無彩色および有彩色ウェブセーフカラーのコントラストに関する視認性について,20代健常者を被験者とした心理実験を行った. (2)並行して,多くのウェブサイトで用いられている白色背景での有彩色文字の視認性について若年健常者に対して心理実験を実施した. (3)上記(1),(2)について30代から70代までの年代別データも取得した. その結果,(1)の無彩色実験では,背景と文字のコントラストから,心理実験の結果を予測できる可能性が示唆された.(2)については,コントラストだけでは心理実験の結果を予測することが難しく,色相を考慮する必要があることがわかった.(3)については,加齢ととも色度の影響は減少し,逆にコントラストの影響が大きくなることがわかった. 得られたデータの一部を学習データとして,ソフトコンピューティングの一手法である自己組織化マップを用いた視認性の評価モデルを作成した.その結果,視認性の主観評価(評価データ)とよく一致するモデルを作成することができた.
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