<記号論Semiotics>の知見を<情報学>の研究に活用するための理論的書き換え作業を体系的に行い、その研究成果を<情報記号論Information Semiotics>として学問的に体系化する基礎を提示することによって、人文学と情報学との間の学的インタフェースの発展に寄与することをめざす本研究は、平成16年度、理論・実践双方の部門において研究作業を完成させ研究の総合をおこなった。 1)理論基礎研究作業:平成15年度におこなった<情報記号論>の概念マッピングにもとづいて、学的体系化の理論作業を進め、<情報記号論>の体系化の作業を完了した。その研究成果は、<情報記号論>の「知恵の樹」の概念マップとして空間的に可視化されると同時に、「情報記号論講義」として言説化され、その一部は、東京大学大学院学際情報学府の「情報記号論」講義として教育に活用され、e-learningされることによってインターネット上で公開された。また、平成17年度からは、この講義MITのOCWによる連携科目として英訳されて、英語でも配信されることになった。 2)応用実践作業:平成15年度におけるハイパーテキスト事典の設計をさらに発展させ、情報記号論の知見に裏付けられたITベースのハイパーメディア型「メディア分析の知恵の樹」の構想と設計、実装へと、「知恵の木」は発展させられた。そこで生み出されたのが、情報記号論にもとづいた「メディア分析の知恵の樹」の試作第一号としての「TV分析の知恵の樹」である。「情報記号論の知恵の木」はハイパーメディア型理論事典「メディア分析の知恵の樹」として具体的に試作されデモを行うことができた。 3)国際研究交流:情報記号論の研究構想の深化について従来から研究協力関係にあるCNRS、Hautes Etudes en Sciences socials、パリ第8大学に加えて、ヘルシンキ美術工芸大学、フランスIRCAMを研究協力パートナーに、情報記号論、ハイパーメディア分析、情報哲学等について幅広く研究情報交換をおこない研究交流を促進することができた。
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