研究概要 |
今年度は,データ入力のための方式および書誌記述規則について検討と,並行して古典籍資料のデータベース化に適したデータベース・システムの検討を行った。データ入力の方式および書誌記述規則に関して,国内外で刊行された和漢古典籍の目録を比較し,どのような書誌情報が利用者にとって必要と考えられてきたかを集約し,そのうち中心となる「記述の単位および書名」についてまとめた。また,欧米を中心に,西洋古典籍での標準的な書誌記述目録としてのShort tilte catalogueおよびデータベース化されたEnglish short title catalogue,英語圏以外の西洋古典籍を中心とした,Hand press book databaseの歴史ならびに現況,将来計画についても,和漢古典籍との比較において検討を進め,そのまとめを本年5月刊行の学術誌に掲載予定である。これらの検討を通し,データベース構築方法として,協同分担目録方式による方法の優位であることを結論づけるとともに書誌作成単位と書名に関し,再度確認を行った。データベース化に関し,国内のNACSIS-CATおよび古典籍総合目録データベースのコーディング規則等の比較検討を進めた。また海外での状況把握と協力依頼のために,北米および英国の大学図書館を中心に日本古典籍所蔵機関守訪問した。海外の機関においても,今後和漢古典籍をどのように組織化を行うかについては未定の機関が多く,加えて,コンピュータでの文字の問題や,レファレンスツールの不備,古典籍を組織化する上での専門的な知識の不足が大きな問題であると指摘された。本学附属天理図書館や国立情報学研究所,国文学研究資料館の担当者・研究者および,海外所蔵機関の担当者・研究者とも連絡を取り合い,来年度は,組織化のためのフォーマット,記述規則等について,さらに検討を進め,プロトタイプの構築を進める所存である。
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