本研究は、人間がどのようなきっかけからどのような目的(ゴール)のためにどのような状況の中で情報探索に取組み、きっかけや目的や状況がユーザの情報探索プロセスと情報源評価にどのような影響を及ぼしているかを捉え、ユーザ状況を反映した情報探索プロセスの概念モデルを構築することを目的とする。 平成16年度は、前年度に作成し予備調査を経て洗練したインタビューガイドを用いて、研究者10名(日本人5名、外国人3名)を対称に、授業や教材の準備のための情報探索プロセス、および日常生活における情報探索プロセスについて、聞き取り調査を行った。聞き取り調査の結果は、ATLAS.TI(内容分析用ソフトウェア)を用いて分析した。分析では、絶えざる比較法(Constant Comparative Method)を採用した。キー概念として、「遠隔ゴール」、「直近ゴール」、「ゴールの変化」、「情報探索スキル」を抽出し、それらの間にある相互関係を把握した。 また、英国シェフィールド大学名誉教授で、情報行動に関するモデルや理論の開発で定評のあるThomas Wilson博士を招いて、「アルフレッド・シュッツ、現象学、および研究方法論」というテーマでワークショップを開催し、情報探索研究に関する意見交換を行った。また、筑波大学・梅花女子大学共催シンポジウム「電子化環境における情報探索行動」において、Thomas Wilson博士とともにパネルディスカッションに参画し、「利用者によるデジタル・レファレンス・サービスの評価基準」という標題でプレゼンテーションを行った。
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