インターネットの普及とともに、図書館のOPACや検索エンジンなどの情報検索システムが一般的に利用されるようになり、PCを利用することでアクセス可能な情報量は莫大なものとなった。このことにより、利用者には多大な利便が提供されるものと思われるが、実際には利用者は必ずしも効率的に情報にアクセスできていない。その理由は、検索システムのユーザーインタフェースに問題があるためと考えられる。一般に、システムの使いやすさはユーザビリティの観点から分析することができる。検索システムのインタフェースを改善し、利用者が容易に必要な情報にアクセスできるようにするためには、ユーザビリティの高いインタフェースを考案する必要がある。 そこで、検索システムの利用におけるユーザビリティを調べるために、検索時の眼球運動を計測する実験を行った。被験者には、公立の図書館の検索システムを利用してもらい、指定の図書を見つけて所蔵館を答えてもらうという課題を与えた。検索中の視線の移動を記録し、実験後に停留に関する分析を行ってユーザビリティを検討した。メニューバーによるナビゲーションの異なる4つの図書館の検索システムについて、視線の動きにどの程度の無駄があるか、検索時間がどれくらいかかるかなどを比較し、画面のデザインと検索の効率との関係を調べた。その結果、デザインによって検索効率が異なることが示され、画面が単純でメニューバーが大きく明確に示されていること、必要な動作を促すボタンの表示がわかりやすいこと、内容を示すための用語の意味が一目でわかるような表現を使っていることが、図書検索のナビゲーションにおいて有効であることが示唆された。この結果は、使いやすい検索システムをデザインする上での指針を与えているものと考えられる。
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