研究分担者 |
黒木 学 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (60334512)
杉本 知之 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70324829)
原田 章 甲子園大学, 人間文化学部, 講師 (10263336)
島田 貴仁 警察庁科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 研究員 (20356215)
村田 昇 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60242038)
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研究概要 |
本研究課題の最終的な目的は独立成分分析(ICA)と構造方程式モデリング(SEM)の融合である.ICAは工学の分野で発展してきたので,質問紙調査に代表される典型的な多変量観察データへICAをナイーブに適用しただけでは,解釈可能で有益な分析結果は得られない。本研究の第一の目的は,これらの問題を克服してICAの社会科学データへの正しい適用方法を確立することである.SEMは,因果仮説から導かれる観測変数のモーメントの構造を推定することで因果仮説の検証を行う.SEMにおいては低次のモーメントしか利用しないため,モデルの識別性や同値モデル,非正規分布に対する推測など様々な問題が指摘されている.本研究の第二の目的は,ICAの分野での研究成果からヒントを得ることで,これらの問題を解決してSEMの適用可能性を高めることである.今年度の研究実績を以下にまとめる. (1)2005年7月にオランダで開催された計量心理学会国際大会(IMPS2005)において招待講演「Structural Equation Modeling and Nonnormality」を行った.講演の構成は以下のとおりである.(1)Mooijaartらの非正規因子分析,(2)ICAの簡単なreview,(3)ICA, sparse coding,因子回転の関係,(4)因子回転によるICA,(5)検証的ICAの発展,(6)まとめ. 探索的因子分析における因子回転の第一人者であるM.W.Browne(座長)とR.I.Jennrichらと意見交換できたのは有益であった. (2)上記の大会において,時系列因子分析における因子の不確定性と非正規性についての研究発表を行った. (3)非正規情報を有益に活用しSEMの欠点である識別不能モデル,同値モデル,飽和モデルの問題の解決を図った. (4)複数個の観測変数(ノード)間の因果関係の順序付けの方法をSEMのパス解析とICAの考え方にもとづいて開発した. (5)3年間の研究成果をまとめた.
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