研究概要 |
平成15年度は,1.空間スキャン統計量とechelon構造分析を利用したホットスポットの検出,2.分割表におけるホットスポットの検出と統計量の直接確率分布の計算,3.空間latticeデータの分類法とグラフィカル表示,について集中的に研究を行った. 1.空間スキャン統計量とechelon構造分析を利用したホットスポットの検出 空間スキャン統計量は,データが得られた地点を中心に円状に領域をスキャンし,集積性の高い領域を見つける.しかし,円状に領域をスキャンすることにより,円状のホットスポットの検出には優れているが,線状や他の形状をしたホットスポットの検出には適しない.そこで,echelon解析により空間データの位相的な構造を求め,そこで得られた空間データの階層構造に基づき領域をスキャンしていく方式を提唱した.さらに,地域データおよび分割表データに適用し各種の形状をしたホットスポットを検出できることを示した. 2.分割表におけるホットスポットの検出と統計量の直接確率分布の計算 従来,空間スキャン統計量の理論的な分布は,モンテカルロ法に基づき計算されてきた.しかし,分割表や都道府県,市町村データのようにセル数が少数個の場合は,スキャンする領域のパタンが限られる.そこで,パタンの数を効率的に計算するアルゴリズムを開発するとともに,統計量の確率分布を直接計算した. 3.空間latticeデータの分類法とグラフィカル表示,空間データに対して,空間データの近隣集合,家族集合を新たに定義しechelon解析の観点からクラスター分析を行う方法を提唱した.また,地域データをデンドログラム上にグラフィカルに表示することにより,地域の特徴及び階層構造を調べることができることを示した. 1の結果については,計算機統計学第15巻第2号で公表した.2の結果については,2004年2月に釜山で開催された,「統計科学の多分野への接近法に関する合同会議」で公表された.3の結果については,2004年7月に開催される,The 2004 meeting of the International Federation of Classification Societiesの論文として受理されている.
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