研究概要 |
何らかの原因で欠損値missing valueをもつデータに基づく統計的推測において,その推測の基となる効果的な統計的モデルを構築し,そのモデルにおける推定値の誤差について有効な推定法を開発することが本研究の目的である.欠損値をもつデータ等をはじめとする不完全情報に基づく推定においてはEM-algorithmが有用である.本研究では数年前からの研究に引き続き,まずポアソン混合モデルに対してEM-algorithmによって得られる推定量の分散の不完全情報行列による推定値とBootstrap法による推定値を比較検討した.菊池と野間口は研究成果を「EM-algorithmによる推定の精度-ポアソン混合モデル-」と題して,日本計算機統計学会(新潟,2003.5)において発表した。現在は潜在マルコフポアソンモデルの推定精度について検討を行っている.さらに潜在マルコフモデルについて,モデルの拡張,定常分布から発生した場合の解析について研究を続けている. 菊池は平成15年度より厚生労働省精神・神経疾患研究委託費による研究事業「筋ジストロフィーの治療と医学的管理に関する臨床研究」(研究課題番号14指-5)(筋ジス川井班)の分担研究者に,野間口と安楽がその共同研究者となった.これを受けて,本研究申請時には予定になかったテーマであるが,臨床研究へのEM-algorithmの応用について研究を始めた.従来生存関数のパラメトリック推定には,指数分布やWeibull分布が仮定されている.本研究においては,Weibull分布を拡張したGamma-Weibull分布を仮定したモデルの推定についてEM-algorithmによる推定について研究を続けている.菊池と野間口は現在までの研究成果を「EM-algorithmによる生存関数の推定」と題して,日本計算機統計学会(いわき,2004.5)において発表予定である. また丸山は自身の研究成果を,"Associative sequential decision process"と題して,International Conference on Nonlinear analysis and Convex Analysis (Tokyo,2003.8)において,「結合型逐次決定過程」と題して,研究集会「不確実性下での数理決定問題とその関連分野」(千葉,2003.10)において,「結合型逐次決定過程について」と題して,研究集会「不確実性と意思決定数理の諸問題」(京都,2003.11)において発表した.
|