研究概要 |
本研究はヘテロな計算機環境下で,ネットワークで接続されたPCを用いて並列処理を行うことによって,統計的な分析のための効率的な計算環境について提案を行うことを目的としているが,本年度(研究初年度)では,1)分散並列計算の形態としてベオウルフ型のPCクラスタの導入とその利用形態について検討した。新規計算機を導入するとともに,研究室内の計算機群についてそのネットワークをギガビットベースのものに変更して,ネットワーク・計算機環境を調整して研究基盤を整備した。その後,PCクラスタを構成する際の基盤通信環境として,PVM, MPI(ここではLAM)を導入して,並列計算環境を構築し,その実装上の問題点について調査した。 2)不均一な計算機環境下で特性を考慮に入れながら,効率的な並列分散計算環境を構築するためにそのタスク管理技法として,Manager-Workers modelとして時間予測法を考案し,既存の技法の一つであるWorkPool法と比較検討を行った。 3)さらに,統合的な開発環境としての並列分散計算環境の応用についても検討を加えて,ブートストラップ法などシミュレーション技法に応用可能な形での分散並列計算支援環境の基本設計を行った。 4)アルゴリズムの観点からは,大規模な行列の積を想定した場合の,メモリとCPU配置の観点から,F0Xアルゴリズムと区分行列演算の挙動に関する検討を開始し,小規模実験で,その利点欠点の事前確認を行った。 これらの成果については特に1),2)の観点について整理し,第28回大分統計談話会(2003.10),第17回日本計算機統計学会シンポジウム(2003.11),2003年医学統計研究会年会(2003.12),などで研究発表した。また,分散並列計算環境を利用した実際的な離散データ解析の応用に関する成果を得て,54thISI(2003.8)ならびに日本計算機統計学会和文誌(15.2,印刷中)でも成果発表を行った。
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