研究概要 |
従前の研究(Tanaka and Shimizu,2001)では,平均0,分散1,自己相関関数ρ(h)の強定常楕円過程で有限次元同時分布が正規分布の尺度混合分布である場合において,原過程からの等間隔標本のレベル交差点数の平均公式を与えた.本研究では同過程を仮定し,観測される等間隔標本Y_1,...,Y_Nを1,0,-1と3値変換した系列を利用して1および2ステップレベル交差点数の期待値および分散公式を求めることを主な目的とした.ここで,1ステップレベル交差点数とは固定されたレベルu, v (u>v)に対して,[Y_t≧uかつv≦Y_<t-1><u]または[v≦Y_t<uかつY_<t-1>≧u]または[v≦Y_t<uかつY_<t-1><v]または[Y_t<vかつv≦Y_<t-1><u]となるようなt (2≦t≦N)の個数をいい,2ステップレベル交差点数とは[Y_t≧uかつY_<t-1><v]または[Y_t<vかつY_<t-1>≧u]となるようなt (2≦t≦N)の個数をいう.期待値公式については当初の目的を達成しShimizu and Tanaka (2003)によって発表された.同論文では,応用として平均0,分散1,自己相関関数ρ(h)の定常ガウス過程において1階および2階の離散観測階差時系列の2ステップレベル交差点数(極値の個数および変曲点の個数の一般化)の期待値公式を与えている.2値変換した系列において回遊数のもつ漸近的性質はTanaka and Shimizu (to appear)で研究されている。また、分散公式に関する論文(Shikama and Shimizu)を投稿した。論文は現在査読中である。
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