研究概要 |
確率場却X(t),t∈I(I⊂R^dは添字集合)の最大値の分布(上側確率)Pr(max_<t∈I>X(t)>a)を近似するための積分幾何学的方法としてチューブ法(tube method),またその一般化としてのオイラー標数法.(Euler characteristic heurestic)が近年開発されつつある.本年度はこの近似法に関し,主として誤差の漸近評価を行った. (i)平均,分散が不均一な正規確率場の最大値分布の近似をチューブ法,オイラー標数法によって与えた.またその近似式の正当性,すなわち近似の誤差が近似式の各項よりも指数的に微小な項であることを示した. (ii)平均,分散が均一な正規確率場の最大値分布におけるチューブ法,オイラー標数法近似はすでによく知られているものであり,またその正当性も証明されている.しかしながら,その誤差のオーダの正確な見積もりはなされていなかった.本年度の研究では,添字集合Iが定義する添字多様体の自己交差が大域的,すなわち臨界半径が大域的に達成されるという条件の下でその誤差の漸近評価を明示的に与えた. (iii)上記と同じ問題設定において,自己交差が大域的でない場合(局所的である場合)に関しては,現時点では部分的な結果が得られているだけである.しかしながら複雑ではあるが機械的な数式の処理を行うことにより,この場合の結果も得られる目処がたっているので,これは引き続き次年度の研究課題とする予定である.
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