研究課題/領域番号 |
15500211
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯高 哲也 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70324366)
|
研究分担者 |
八田 武志 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (80030469)
大平 英樹 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (90221837)
米倉 義晴 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (60135572)
定藤 規弘 自然科学研究機構, 生理学研究所, 教授 (00273003)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
キーワード | 脳賦活検査 / 機能的磁気共鳴画像 / 事象関連電位 / 認知心理学 / エピソード記憶 / 顔 / 加齢 |
研究概要 |
本研究結果は特定の認知機能にかかわる脳内の神経相関を検討する上で、機能的磁気共鳴画像(fMRI)で得られた空間的情報と事象関連電位(ERP)で得られた時間的情報を効果的に組み合わせることが有用であることを示している。最初に行われた顔認知研究では、fMRIで計測された側頭-後頭葉領域の信号値の変化とERPで測定された同領域の電位変化との間に相関関係が見られた。しかしより高次な処理を行う前頭葉領域では、このような明確な相関関係は認められなかった。従って本研究の主題となる再認課題に関する実験では、両実験を別の被験者群を用いて行った。 健常若年被験者で絵の再認課題を遂行中のfMRIとERP実験を行い、記憶に関する脳内メカニズムを探った。fMRIでは想起の成功に関る領域として、前頭-頭頂葉領域が賦活された。さらに記銘時の処理水準操作の結果から、中でも左半球の頭頂間溝と前頭前野の一部がrecollectionに関わると考えられた。ERPでは想起の成功に関係して、刺激呈示後400〜500ミリ秒付近で頭頂部領域の電極で陽性の電位変化が認められた。この両者は実験の内容から考えて、同一の神経機構を反映するものと思われる。 最後に健常高齢者を対象として、ほぼ同一のfMRI実験を行った。その結果では高齢者で想起時に認められる前頭葉の強い脳賦活は、高齢者での有意に長い反応時間と関係している可能性が示された。また想起の成功に関る領域として、高齢者では海馬の信号低下と脳梁膨大部後部皮質の信号上昇が特徴的であった。この結果は正常な加齢による海馬機能の低下を、同じPapez回路の一部である膨大部後部皮質が補完している可能性を示唆している。
|