研究課題
基盤研究(C)
1.ニワトリ胚脊髄後角細胞における一過性のERK燐酸化の解析活性型ERKと活性型p38のニワトリ胚脊髄および脊髄神経節における発現を特異的抗体を用いた免疫組織化学法により調べた。その結果、ERKとp38は限局した領域にそれぞれの時間的パターンで発現することが明らかになった。特に、脊髄後角では孵卵7〜9日で一過性にERKの燐酸化が起こっていた。そこで、脊髄後角の単独培養、または脊髄後角と脊髄神経節との組み合わせ培養を行い、脊髄後角細胞のERKの燐酸化に脊髄神経節が必要であることを明らかにした。さらにERKの燐酸化を引き起こす脊髄神経節由来因子を明らかにするために、BDNF、NGF、NT3、substanceP、somatostatin、CGRP、またはL-gluatamateの存在下で脊髄後角を培養したところ、BDNFのみがERKの燐酸化を引き起こすことが示された.2.脊髄神経節に対する軸索反発作用におけるMAPキナーゼの役割の解析免疫グロブリンスーパーファミリー細胞接着分子に属するaxonin-1/SC2は、軸索束形成を促進すると同時に、脊索または脊髄腹側部由来の拡散性軸索反発因子の受容体の一員として脊髄神経節ニューロンの軸索伸長の抑制に関与する(Masuda et al.,2000;2004)。このようなaxonin-1/SC2を介した多様な反応におけるMAPキナーゼの役割を解析するために、MAPキナーゼ阻害剤存在下で以下の培養を行なった。阻害剤としては、すべてのMAPキナーゼ(JNK,p38,ERK)を阻害するPD-989589、および各MAPキナーゼ特異的な阻害剤(JNKの阻害剤としてCEP-1347、p38の阻害剤としてSB-203580、ERK1/2の阻害剤としてU-0126)を用いた。神経回路形成期である孵卵5〜8日のニワトリ胚から脊髄神経節を剖出し、脊索または脊髄腹側部と組み合わせ培養を行った。また、脊索由来の軸索反発因子の候補であるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンを培地に加えて培養した。培養後に、固定し、神経特異的なチューブリン抗体で神経突起を染色し、MAPキナーゼの効果を解析した。その結果、いずれの場合にも各MAPキナーゼ阻害剤の顕著な効果は認められず、軸索反発機構におけるMAPキナーゼの関与は示されなかった。
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