B型モノアミン酸化酵素(MAOB)はモノアミンの分解に関与し、その遺伝子は核DNAにコードされ、蛋白はミトコンドリア外膜に局在している。我々はラット脳セロトニンニューロンの細胞体・樹状突起には、MAOBを持つミトコンドリアとMAOBを持たないミトコンドリアが混在し、神経終末には、MAOBを持たないミトコンドリアだけが存在することを見出した。この所見はセロトニンニューロンにおいて、細胞質で合成されたMAOB蛋白が、特定のミトコンドリアに選択的に輸送され結合し、さらにMAOBを持たないミトコンドリアだけが選択的に軸索輸送によって神経終末まで運ばれることを明らかにした。本研究では視床下部腹側乳頭体核に存在するヒスタミンニューロンにおいて、MAOBの局在を検討した。まず視床下部腹側乳頭体核においてヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)とMAOBの二重免疫染色を行い、全てのHDC陽性神経細胞がMAOB陽性であること明らかにした。次にMAOBの電子顕微鏡免疫組織化学を行った。MAOB陽性細胞において、MAOB免疫反応産物はミトコンドリア外膜に局在し、またMAOBを持たないミトコンドリアも存在していた。以上の結果より、ヒスタミンニューロンにおいても、MAOB蛋白が特定のミトコンドリアに選択的に輸送されることを明らかにした。
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