研究課題/領域番号 |
15500234
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
工藤 基 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80108141)
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研究分担者 |
黒川 清 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (40215083)
中村 高秋 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30314157)
瀧 公介 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20359772)
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キーワード | 聴覚 / 下丘 / 遺伝子改変マウス / ノシセプシン / GABA / エレクトロポレーション / 神経回路 / コレラトキシン |
研究概要 |
聴覚路にβ-ガラクシトダーゼが特異的に発現する遺伝子改変マウス(Brn3b)を用いて聴覚回路形成過程を下丘でみた。この遺伝子改変マウスは、岡崎の基礎生物学研究所の野田昌晴氏と渡辺栄治氏等のグループが開発されたものである。我々はこの遺伝子改変マウス系統をもらい受け滋賀医科大学動物生命科学研究センターの動物実験指針に従って実験をした。まずX-galによる組織染色によりβ-ガラクシトダーゼを可視化した。生後1〜3日の新生児期の全脳標本でβ-ガラクシトダーゼが最もきれいに発現していた。下丘と上オリーブ核に強く、外側毛帯(核)と蝸牛神経核に中等度、内側膝状体に弱く発現が観察された。神経線維はいつも成功裏に染まったが、幼弱脳の全脳標本ではニューロン群中では細胞体とニューロピルを識別することはできなかった。β-ガラクシトダーゼの染色法も変えてみたが改善はみられなかった。この遺伝子改変マウス(Brn3b)は聴覚路の他にも、視覚路の一部や小脳路の一部にβ-ガラクシトダーゼの特異的発現が起こる。このような特性は他の遺伝子改変マウスでもしばしば起こることである。さらに生後7日から発現が弱くなり生後2週以降はβ-ガラクシトダーゼ活性は検知できないレベルに低下した。一方、プレプロノシセプチン遺伝子のプロモーター領域にコレラトキシンBサブユニット(CTB)遺伝子を結合させ、プレプロノシセプチン遺伝子のプロモーター支配下にCTBが産生されるような人工遺伝子を作成した。これをラット下丘に注入し電気穿孔法で神経細胞内に導入することができた。これらの遺伝子操作技術を免疫組織化学と組み合わせて用いることにより、今まで充分可視化できなかったためにその解析が遅れていた聴覚神経回路網を機能解剖学的に調べる強力なツールとなりうることが大いに期待される。
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