電顕連続切片再構築法による嗅球投射ニューロン樹状突起のシナプス結合の定量解析

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15500239
• 研究機関: 徳島大学
• 研究代表者: 樋田 一徳 徳島大学, 医学部, 助教授 (40253405)
• キーワード: 嗅球 / 投射ニューロン / 介在ニューロン / シナプス結合 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 多重染色法 / 標識色素 / 電子顕微鏡連続切片三次元再構築法

研究概要

本研究は、化学的に同定された嗅球介在ニューロンが、選択的に標識された嗅球投射ニューロンの樹状突起に対してどのようなシナプス結合を形成するのかを知ることが鍵となり、嗅球投射ニューロンを選択的かつ再現性よく標識する必要がある。これには、1)嗅球投射ニューロン標識法の確立、2)光学顕微鏡レベルでのシナプス形成部位の予測、3)多重染色法の検討、が解析の前提となる。
上記のうち1)は、平成15年度の補助金により顕微鏡セットを購入し、パッチクランプ法を応用したシステムを構築した。色素は、Neurobiotin, Lucifer Yellow, Biotinylated Dextran Amine, Biocytinなどの購入試薬の、嗅球組織に適合する条件設定を行ない、標識色素の改良を行った。
また、標識色素の可視化を、蛍光顕微鏡と明視野顕微鏡の双方で可能なように、Streptavidinに金コロイド及び蛍光色素の標識された試薬の反応条件の調整を行った。また、固定組織への標識色素の注入の為の技術的確立をほぼ終了することが出来た。
2)については、現在解析中である。
3)については、様々な組織による三次元解析を共焦点レーザー顕微鏡で行い、蛍光色素の特異性と染色条件の検討を行なった(次頁業績)。
以上のように本年度は、これまで報告者が確立してきた電子顕微鏡連続切片三次元再構築法に、電気生理学で用いられているパッチクランプ法の手技を応用・改良し、また標識色素、蛍光抗体、解析標本の条件設定などの予備実験を行なった。これらはほぼ満足するレベルで完成し、現在本格的に解析を進行させているところである。

研究成果

• [文献書誌] T.S-Yamamoto, K.Toida, K.Watanabe, K.Ishimura: "Immunocytochemical localization of prostaglandin F synthase II in the rat spinal cord"Brain Research. 969・1-2. 27-35 (2003)
• [文献書誌] H.Ueta, H.Nagasawa, Y.Oyabu-Manabe, K.Toida, K.Ishimura, H.Hori: "Localization of enolase in synaptic plasma membrane as an αγ heterodimer in rat brain"Neuroscience Research. 48・4. 379-386 (2003)
• [文献書誌] M.Kyaw, M.Yoshizumi, K.Tsuchiya, S.Kagami, Y.Izawa, Y.Fujita, N.Ali, K.Toida, K.Ishimura, T.Tamaki: "Src and Cas are essentially but differentially involved in angiotensin II-stimulated migration of vascular smooth muscle cell via ERK1/2 and JNK activation"Molecular Pharmacology. 65・4. 832-841 (2004)
• [文献書誌] K.Uezu, H.Sei, A.Sano, K.Toida, T.Suzuki-Yamamoto, T.Houtani, T.Sugimoto, H.Takeshima, K.Ishimura, Y.Morita: "Lack of a nociceptin receptor alters body temperature during the resting period in mice"NeuroReport. 15・5. 751-756 (2004)
• [文献書誌] T.Shinka, Y.Sato G.Chen, T.Naroda, K.Kinoshita, Y.Uenmi, K.Tsuji, K.Toida, T.Iwamoto, Y.Nakahori: "Molecular characterization of HSFY, HSF-like factor encoded on the human Y chromosome, and implications for male infertility"Biology of Reproduction. (発表予定). (2004)