研究課題
ラットを用いて、片側の黒質ドーパミン細胞を破壊するために、内側前脳束に6ハイドロキシドーパミン(6-OHHD)を微量注入し、メタアンフェタミン誘起回転運動を観測することで、黒質ドーパミン細胞の破壊の有無を推測した。それを再確認するために、ドーパミン生成に関与する酵素に対する免疫組織化学を施し、黒質及び黒質ドーパミン細胞が主に投射する線条体における陽性反応の程度を顕微鏡下で確認した。その結果、メタアンフェタミン注射により誘起される回転数が対照群(ほとんどゼロ)の場合より有意に増加した群では、免疫組織化学によるこれらの部位における陽性反応が減少していた。このことは、片側の内側前脳束を6-OHHDで処理することにより同側の黒質におけるドーパミン産生細胞を破壊し、このことがメタアンフェタミン処理による回転運動の誘起をもたらしていることを示している。次に、メタアンフェタミン処理により対照群より回転数が有意に増加したラットだけを用いて、破壊側およびその反対側の足底に機械的刺激を与え、足引っ込め反射が生じるまでの時間を計測した。その結果、機械的刺激を足底に与えると、破壊側では足引っ込め反射を生じるまでの時間が対照群に比べて短くなった。これらの結果は現在論文として雑誌に投稿中である。これまでの結果から、ドーパミン産生細胞を破壊することで機械的刺激に対する反応性に変化が生じることが明らかとなった。そこで、平成17年度は、この現象が痛覚系に直接関与しているか否かについて検討するために足底に機械的侵害刺激を与え、侵害刺激により誘発されるFOSタンパク質の発現を免疫組織化学的手法を用いて脊髄及び黒質ドーパミンの投射部位である線条体で観察し、痛覚とドーパミン系の関係について検討する。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (1件)
Brain Research 1022(1-2)
ページ: 182-194