研究課題
基盤研究(C)
Rasの活性制御に対するRsaGRFのカルシウム結合ドメインの機能解析を培養細胞における膜電位依存型カルシウムイオンチャンネルを再構成した系で解析をした。一方、米・仏の研究グループから、Neuron Vol.40,775-784にNMDAレセプターのNR2BサブユニットにRasGRF1が直接結合する研究結果が報告されたことより、受容体共役型のイオンチャネルによる細胞内へのカルシウム流入の関与も想定された。これらを踏まえ、モデルマウスの作成、およびマウスの脳、初代培養細胞を用いた解析も行った。モデルマウスとしては、RasGRF1遺伝子欠損マウスが既存であったため、RasGRF1とRasGRF2の二つの遺伝子を欠くマウスを新たに交配により作成した。RasGRF1と高い相同性を持つRasGRF2はカルシウム依存性に活性増幅があるが、NMDAレセプターとの結合が見られないために、それぞれの遺伝子欠損をホモ、ヘテロで比較する事によりカルシウムイオンの細胞内の動向が解析可能と考えたからである。なを、RasGRF2の遺伝子欠損マウスは、すでに我々が作成していたが、正常に出生・成長し、異常を確認する事ができなかった(未発表事項)。作成されたRasGRF1/RasGRF2の遺伝子重複欠損マウスは、胎児致死とはならずに出生し通常の成長を遂げることが示された。脳の薄層切片を短期培養する事により、生理活性因子の刺激による反応、電気生理学的反応を検討し、さらに、タンパク質レベルでの発現の解析を行った。タンパク質の発現については、RasGRF1とRasGRF2の発現が成長に伴い変化する事を見いだした。これにより、成長に伴い発現レベルが、GRF1優位からGRF2優位へ変化することが示され、脳・神経細胞でのカルシウムの制御機能が成長に伴い変化する可能性が示された。また、胎児期では、ヌクレオチド交換因子であるSOSがRasGRFより優位に働く事を示唆する結果も得られた。神経疾患との関係も含めた今後の研究が期待される。
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