T型カルシウムチャンネルは深い膜電位で開口するため、細胞の興奮性の制御に重要な役割を果たしている。neuropeptideY(NPY)は36アミノ酸からなる神経ペプチドで、中枢および末梢神経系に広く分布する。両者の分布には相関が認められ、中枢および末梢のいずれにおいてもNPYを含有するニューロンの投射を受けるニューロンはT型カルシウムチャンネルを発現しており、機能的な関連性が推測される。本研究は、T型カルシウム電流に対するNPYの作用を検討することを目的に行われた。未分化NG108-15細胞を用いて、Ba^<2+>をチャージキャリヤーとしてパッチクランプ法による全細胞電流記録を行い、T型カルシウム電流の同細胞における発現を確認した。次に、同細胞に低用量のNPYを適用すると、T型カルシウムチャンネル電流が約10%増大することを見出した。この増大は、活性化および減衰のキネティックスに影響を与えなかったが、活性化のV_<1/2>を過分極側に移動させた。さらに、この作用に関与するNPY受容体サブタイプ明らかにするため、サブタイプ選択的なアゴニスト・アンタゴニストを用いて、Y_1受容体およびY_2受容体が相加的にT型カルシウム電流を増大させていることを明らかにした。さらに、RT-PCRにより両受容体サブタイプがNG108-15細胞に発現していることを確認した。 なお、本研究の成果は学会発表ならびに論文として報告した。
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