研究課題
基盤研究(C)
神経系におけるオンコスタチンMレセプター(OSMR)の発現を検討した結果、中枢神経系におけるOSMRの発現は胎児期から生後1週目までは舌下神経核において認められたが、成獣ではその発現は認められなくなり、かわって嗅球のアストロサイトや脈絡叢細胞に発現してきた。さらに脳の核領域、および末梢神経である三叉神経節や後根神経節を用いてノーザンブロット解析を行ったところ、嗅球においてその発現が認められたことに加え、三叉神経節や後根神経節において非常に強いOSMRの発現を認めた。OSMRは神経節小型ニューロンに発現してしており、ほとんどのOSMR陽性ニューロンはTrkA陽性ではなく、c-ret陽性の小型ニューロンに属していた。OSMR陽性小型ニューロンはサブスタンスPやCGRPなどのニューロペプチドはもたず、vanilloidレセプターであるTRPV1やATPのリセプターであるP2X3を有していたが、驚くべきことにOSMR陽性小型ニューロンはすべてTRPV1とP2X3の両者とも陽性であった。さらに、オンコスタチンM(OSM)欠損マウスでは、TRPV1とP2X3の両者が陽性の小型ニューロンが有意に減少しており、それを裏付けるように、カプサイシンやATPによる刺激に対する反応の減弱を認めた。さらに、機械刺激、熱刺激、腹部疼痛による反応も減弱していた。このように、末梢神経節小型ニューロンの発生分化におけるOSMの関与が示された。また、TRPV1のホモログであるTRPV2は、いかなる神経栄養因子に依存するかについては明らかでない。今回、TRPV2が、TRPV1やTRPM8の発現が認められない胎生11.5日齢からすでに発現すること、胎生11.5日齢と胎生13.5日齢のマウス胎仔で、TrkC陽性細胞の多くにTRPV2が発現していることが明らかになった。成獣では、TRPV2陽性細胞の68%はTrkC陽性で、25%はRet陽性であった。以上の結果より、TRPV2は、その多くがNT-3依存性の後根神経節ニューロンに発現していることが明らかになった。
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