研究課題/領域番号 |
15500270
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 助手 (70276393)
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研究分担者 |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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キーワード | アロディニア / 脊髄 / 神経可塑性 / イメージング / 細胞内カルシウム / 一酸化窒素 / NMDA受容体 / マウス |
研究概要 |
痛覚の伝達が一次求心性繊維の入力、脊髄後角の神経細胞、層構造でどのように制御されているのか、なぜ触覚が痛覚として誤認されるのかという重要かつ基本的な問題を神経の可塑性に焦点を当てて研究を進めてきた。炎症や組織損傷に伴う慢性痛は痛覚過敏反応と、アロディニアを引き起こし脊髄後角が痛覚伝達に関わる重要な部位である。ノックアウトマウスを用いた行動薬理実験から、プロスタグランジン(PG)、神経ペプチド、グルタミン酸や一酸化窒素がアロディニアに関与することを明らかにした。本研究はその動物モデルより得たアロディニアの行動薬理学的結果を基に、アロディニア誘導に関与する神経回路を高空間分解および高時間分解の可視化することを試み、その回路におけるPGや痛覚に関連する神経ペプチド類の作用機構のイメージングを行った。神経回路網の解析に焦点を当て、痛みにおける神経の可塑性を解明することを目的とした。 1)動物モデルを用いた形態学的解析によるアロディニア発現生体因子の局在 免疫組織学的、酵素組織化学的方法を用いアロディニア誘発に関与する生体因子の神経型一酸化窒素合成酵素(NOS)は、神経因性疼痛維持には、その発現量よりも活性の増大が重要であること、その活性増大には神経ペプチドのPACAPの発現誘導が深く関与していることを明らかにした。 2)脊髄後角神経回路網のイメージング 脊髄初代分散培養標本や脊髄横断切片標本にCa^<2+>プローブおよびNOプローブ試薬を負荷し、細胞内Ca^<2+>、NOの動態について調べた。NMDAとPACAPの同時投与により、各々単独よりもさらに大きな反応を細胞内Ca^<2+>、NOの両方で惹起することを明らかにした。これらの結果は、1)で明らかにしたNOS活性の増大は、脊髄後角におけるPACAPとNMDA受容体を介したグルタミン酸シグナルによる相乗効果により、引き起こされることを強く示唆した。
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