研究概要 |
Cdk5-/-を用いた脳内基質検索により同定された基質のリン酸化の機能的意義についての検討 目的と方法:Cdk5は神経細胞特異的に活性化されているセリン・スレオニンキナーゼで、Cdk5欠損マウスでは、脳の皮質形成の異常があり、その脳内の基質がリン酸化されない事で異常が起きている事が推定される。我々は、リン酸化特異的抗体と、2次元電気泳動を組み合わせた方法により、Cdk5欠損マウス脳でリン酸化の低下している蛋白質として、Pak1とCRMP-2を同定した(発表準備中)。また、Cdk5によるリン酸化部位も同定されている。これらの蛋白のCdk5によるリン酸化の生体での意義を明らかにするため、マウス個体へのCdk5リン酸化サイトを置換した変異体蛋白質の強制発現を試みる事で、その生体でのリン酸化の意義を検討した。それぞれのCdk5によるリン酸化部位をAlaに置換した変異体を作成し、胎児脳にin utero electroporation法にて遺伝子導入し、神経細胞の移動、樹状突起や軸索の極性、ガイダンスなどに着目して効果を判定した。 結果:まず、Cdk5-dominat negative(D144N)プラスミドを、In utero electroporatiop法にて胎児脳に遺伝子導入すると、神経細胞の移動が強く障害される事が確認された。同様にPak1T212A、CRMP-2S522Aを導入したが、明らかな神経細胞の移動の障害は起らなかった。また、CAGプロモーターを用いた実験でも、同様であった。Pak1はPak2,3が、CRMP-2はCRMP-1が機能を代償する可能性が考えられた。また最近他のグループから、FAK1やdoublecortinなどがCdk5の脳内基質であり、リン酸化部位も同定された。これらの蛋白質に関しても、同様の方法によりCdk5によるリン酸化の意義を検討中である。
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