研究課題
本研究では、脳と外界環境との相互作用と行動出力に果す大脳辺縁系の役割を明らかにするため、大脳辺縁系における情報処理過程を明らかにするとともに、大脳辺縁系-他領域間の機能連関を解析した。1.海馬体系ニューロンの外界刺激と行動に対する応答性バーチャルリアリティにより、半径50mの可動領域、およびそれを取り囲む半径100mの仮想空間を設定し、サルにジョイスティックを操作することにより可動範囲内に設定した報酬領域間を往復移動させた。この課題における海馬体ニューロン応答を解析した結果、ランドマーク(空間的手掛り刺激)の数や種類を変化させると特定の場所に応答する場所ニューロンの活動が変化することが判明した。2.海馬体-筋活動(行動)間の同期的活動性遅延期の後リックを行う遅延反応行動中の筋電図、ラット海馬体ニューロン活動、および海馬体局所集合電位(θリズム)間の相関性を解析した。その結果、リック行動-集合電位間、および筋電図-集合電位間のコヒーレンスがθ帯域(3-12Hz)で高まることが判明した。また、リック行動-ニューロン活動間の相互相関解析により、リック行動に同期してニューロン活動のオシレーションがθ帯域で起こることが判明した。3.ヒト脳の非侵襲的研究サルと同様のジョイスティックを用いた仮想空間移動課題および単純ジョイスティック操作課題を行わせ、筋電図および脳波間のコヒーレンスを比較・解析した。その結果、単純ジョイスティック操作課題と比較して仮想空間移動課題で、θおよびγ両帯域脳波と筋電図間のコヒーレンスが高まることが判明した。以上の結果から、海馬体が重要な役割を果していることが示唆されている空間移動や遅延反応では、海馬体-大脳皮質-骨格筋間を繋ぐ広範囲な神経ネットワークが、海馬体のθリズムを中心に形成されることが示唆された。
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