研究課題
基盤研究(C)
最初に重症免疫不全症疾患モデル(SCID)マウスであるC.B-17/Icr-scidとNOD/shi-scid(以下NOD-scid)の多包虫Echinococcus multilocularisに対する感受性を比較した。感染9,12週後に多包虫の重量を比較したところ、いずれにおいてもNOD-scidの方が有意に高い値を示した。これはscid遺伝子の作用にマクロファージ機能の減退、補体活性の低下などが加わった複合的な結果であると推察された。そこで、NOD-scidにおける多包虫の発育と増殖を観察した。感染1,2,3週のNOD-scidと対照群NOD/Shi-+/+(以下NOD-+/+)では多包虫重量および形態には大きな差異は認められず、NOD-+/+においてはrEm-18抗原に対する抗体さえ発現していない。これは感染虫体の前顕性期prepatent periodにあたり、宿主側免疫系が抗原認識中でいまだ抗体産生に至っていない状態と考えられた。感染6週以降のNOD-scidでは多包虫の多房化と原頭節形成が著しく活発に進行し、この寄生虫の無性生殖的増殖態度が典型的に現れた。NOD-scidは多包虫の発育・増殖に対して極めて寛容であり、ヒトの多包虫症を研究する上で重要な感染動物モデルとなる可能性を有していた。さらに、NOD-scidとNOD-+/+における多包虫の多房化と原頭節形成の程度を数量化する試みがなされた。感染6週以降NOD-scidでは病巣面積に対する嚢胞数の比率が極端に高くなって多房化指数が上昇し、NOD-+/+では宿主炎症性組織の増加による病巣面積が上昇するにもかかわらず嚢胞数にはほとんど変化が無いため多房化指数は逆に減少した。原頭節形成指数でもNOD-scidの方がNOD-+/+よりかなり高い数値で推移した。多包虫の増殖・発育を指数化することは宿主感受性比較・感染時期の推定・薬物効果判定などに有効な手段になると期待された。
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