研究概要 |
今年度は、1,MEG計測手法の改善と予備実験と、2,時間-周波数解析手法の確立、3,言語課題作成のためのfMRI計測を行った。以下では、成果の得られた1と2について述べる。 1,MEG計測手法の改善と予備実験 本研究で使用したNeuromag社製全頭型204チャネルSQUID磁束計では、検出コイルが頭部を覆うが、前頭葉と側頭葉のそれぞれ前部までは覆えない。このことは被験者の頭部形状に依存することであるが、多くの被験者が該当する。 そのための対策として、視覚呈示および聴覚呈示のそれぞれで以下のことを行った。 (1)本研究で用いたMEG装置では、視線を遮らないように、目のそばに検出コイルがないため、頭部の一部が覆えない。そこで、下あごを上げる向きに被験者の頭を回転させ、目の前を装置で覆うことで、下目使いで鏡越しにディスプレイを見せることにはなるが、従来よりも検出コイルが前頭を覆るようになった。 (2)聴覚呈示の言語(音声)の場合には、視線に関わる問題が無いため、本来後頭用の検出コイルで前頭の活動を計測する試みを行った。つまり、被験者は本来とは逆向きに装置に入るのである。この手法による予備実験では、右前頭付近を発生源と推測される信号が計測されている。 2.時間-周波数解析手法の確立 音声による予備実験では、期待していた左前頭の脳活動ではなく、右前頭の脳活動を捉えた。そこで、時間-空間解析だけでなく、時間-周波数-空間解析の手法の確立するために、まず、時間-周波数解析を試みた。本研究では、wavelet解析手法をMEG信号に適用した。解析対象として、δ帯域の徐波を示す被験者から得られた聴覚誘発反応を選び、解析手法の性能を調べた。その結果、刺激に対するδ帯域振幅や位相同期性の増大が明らかとなった。これにより、解析手法の性能の良さを確認できた。
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