研究課題/領域番号 |
15500314
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
堀 久枝 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (80014190)
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研究分担者 |
山口 典子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (90251553)
久保田 俊一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究所, 教授 (00260480)
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キーワード | コラーゲン / in vitro translation / α1鎖 / ホモトリマーゲル / ドラッグデリバリー / エンドスタチン / ゼラチンアレルギー |
研究概要 |
近年ドラッグデリバリー担体等の医用バイオマテリアル(生体材料)の開発が盛んになってきている。コラーゲンは体温でゲルを形成し、そのゲルが強い保水性および薬品のゲル内保持性を示すことから、これまでウシ由来コラーゲンは薬剤の安定化剤および止血用膜、人口皮膚、歯根膜などの医薬品に用いられてきた。しかし、狂牛病の原因物質プリオンの混入の危険性ならびにアナフィラキシーの原因アレルゲンであることが判明し、安全な医用生体材料の応用のために、ヒト由来コラーゲンの作成が重要な課題となった。申請者はin vitroでI型コラーゲンα1鎖ホモトリマー{α1(I)_3}分子を合成し、ドラッグデリバリー担体として開発しているが、初年度は以下のような研究成果をあげた。 1.ヒトコラーゲンI型α1鎖の作成:α1鎖3.7kbp cDNA(コラーゲンドメインのみ)をin vitro translation用ベクターpIVEX2.3に組込みタンパク発現を調べたが、本ベクターでは収量が低く、不溶性画分に回収された。今後3本ヘリックス形成に必要なコラーゲンドメインの最小単位を検討しcDNAの短小化を計ると共にベクターと発現系の検討が必要となった。2.ゲルの薬剤担体としての有効性:血管新生阻害因子エンドスタチン(20KDa)はリュウマチモデルマウスの関節炎阻害に有効であり、本ゲル担体への応用が期待された(山口典子博士)。3.担癌動物のゲル投与系の確立:マウスへ癌細胞をin vivoで移植する際、癌細胞のキャリアーとしてマトリゲル(基底膜成分)と天然I型コラーゲンを比較すると前者は癌細胞が増殖性を示したのに比し、後者はむしろ癌細胞の増殖阻害効果があった(論文作成中、久保田俊一郎教授)。現存開発中のI型コラーゲンα1鎖ホモトリマー{α1(I)_3}分子にも当初の目的のドラッグデリバリー担体のみならず、癌細胞増殖抑制効果の可能性も合わせて検索している。
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