研究概要 |
ハイドロキシアパタイト(HA)が骨芽細胞の分化増殖に与える影響を検討するため、1cm角のPESF(ポリエーテルスルフォン)基板を作製し、biomimetic法を用いて表面にHAをcoatingした基板とnon coatの基板上でのマウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)の接着性、形態、増殖、分化を調べた。当初、培養中にHAの脱落を認めたため、HA coating前の基板にグロー放電処理を行い、HAの脱落を改善した。極初期にはHA基板に対する細胞接着性の向上を認めたが、細胞がconfluentになった状態での形態的な差異は無かった。細胞増殖の指標として総タンパク質量、分化の指標としてアルカリフォスファターゼ(ALP)産生を培養開始後7日、14日の時点で測定した。HA基板では総タンパク質量の増加を認め、細胞増殖の促進を認めた。逆にnon-coat基板でのALP産生の増加を認めた。ALP染色では、confluent以降でnon-coat基板での優位な染色性の向上を認めた。次に50μm,100μmの平行線、dotからなるHAマイクロパターンを基板上に作成し同様の検討を行ったが、全面HA coat基板より優位な増殖、non-coat基板より優位なALP産生の増加は認めなかった。そのため、細胞大より微細なマイクロパターン(5,10,20μm大)の作製が必要との方針で基板を再作製することとなった。しかし、パターンが微細になればなるほどHAが剥奪し、1cm角の基板全面に均一にパターン形成させることが困難であることが判明した。そのため、4種類のパターン形成法を考案、実施したが、当初の目的を達成できていない。現在、成膜時のSBF濃度、pH、温度などを精密にコントロールすることにより、広い面積に再現性良く微細なパターンを敷き詰めることが可能となり、今後の研究の進展を期待している。
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