超低周波電磁界がラットの行動リズムに与える影響について予備的な実験を行った。 これまでの研究により、視交叉上核において生成されるリズムが電磁界に反応することが示唆されている。このことより、生体リズムの最終出力のひとつである行動リズムに対して電磁界が何らかの影響を与えることが考えられる。平成15年度の研究では、この仮説を検証するための予備的実験を行った。 恒暗の飼育環境において、回転式運動量測定器を用いてラットの行動リズムを測定した。回転式運動量測定器で計測されるラットの輪回しの回転数は、パーソナルコンピュータで自動的に計測できるようにソフトウェアを開発した。ラットの自発的行動リズムであるフリーランが安定するように、恒暗の状態でラットを14日間飼育した。フリーランが安定しているかどうかは、行動リズムをコンピュータのモニタ上にグラフ表示することにより確認した。行動リズムがフリーラン状態にあるラットに対して、50Hzの電磁界を24時間照射する実験を行った。ラットへの磁場曝露には、これまでに開発・製作した自動均一磁場曝露システムを用いた。このシステムは、均一な磁場を3次元空間に生成する組み合わせコイルにより構成されており、コイルに流す電流をコンピュータにより制御することにより直流磁場や時間変化する磁場波形を任意に調整することができる。コイルシステムにより磁場曝露中のラットは、アクリル製の固定器により固定し、液体飼料をチューブを通して給餌することにより良好な生理状態を保った。現在、磁界の曝露により行動リズムがどのような変化するかについて解析中である。次年度以降、電磁界の方向に対する行動リズムの変化等について検討していく予定である。
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