超低周波電磁界がラットの行動リズムに与える影響について実験を行った。 昨年度までの研究により、視交叉上核において生成されるリズムが電磁界に反応することを明らかにし、生体リズムの最終出力のひとつである行動リズムに対して電磁界が何らかの影響を与えることを示唆した。平成16年度の研究では、この行動リズムに対する電磁界の方向の影響を検証するための実験を行った。 恒暗の飼育環境において、回転式運動量測定器を用いてラットの行動リズムを測定した。回転式運動量測定器で計測されるラットの輪回しの回転数は、新たに開発したソフトウェアによりパーソナルコンピュータで自動的に計測できるようにした。電磁界曝露前の処理として、ラットの自発的行動リズムであるフリーランが安定するように、恒暗の状態でラットを14日間飼育し、行動リズムをコンピュータのモニタ上にグラフ表示することによりフリーランの安定について確認を行なった。行動リズムがフリーラン状態にあるラットに対して、50Hzの電磁界を24時間照射する実験を行った。ラットへの電磁界曝露には、これまでに開発・製作した自動均一電磁界曝露システムを用いた。このシステムは、均一な磁場を3次元空間に生成する組み合わせコイルにより構成されており、コイルに流す電流をコンピュータにより制御することにより直流磁場や時間変化する磁場波形を任意に調整することができる。コイルシステムにより電磁界曝露中のラットは、アクリル製の固定器により固定し、液体飼料をチューブを通して連続的な給餌を維持した。電磁界の曝露により行動リズムがどのような変化するかについて解析した結果、電磁界をラット頭部に対して左右方向に曝露した場合に行動の概日リズムの位相が前進が観察されたが、電磁界を上下方向および前後方向に曝露した場合には行動リズムに変化は見られなかった。
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