研究概要 |
平成15年度は乱流性の流れ負荷装置の開発と培養細胞系における遺伝子の解析に主眼をおいた。 1.培養内皮細胞における基礎実験;流れ負荷装置の開発及び流れの可視化(大浦・工藤):Dewey型装置によって乱流を発生させるには、回転円錐の角度と回転数が重要であるが、これらのパラメータを有限要素法を用いてシミュレーションした結果、円錐角度5度と回転数120rpmを得た。次に実際に負荷装置を作成し流れの可視化実験をおこなった。流れを可視化するために溶液中に径約200〜500μmのポリスチレンパーティクルを懸濁し、その動きをHigh speed video camera(NACHSV500,Japan)で解析した結果、開発負荷装置による2次流が可視化でき、時間的・空間的に絶えず変化する流れを生じ、底面に付着している内皮細胞は乱流に暴露されることが確認できた。 2.培養内皮細胞における包括的なシェアストレス応答遺伝子発現の解析(大浦):ガラス板上のヒト培養冠動脈内皮細胞(HCAEC)に層流性・乱流性の二つの流れを6時間、24時間づつ負荷し、単に培養して静置したものをコントロール(static)として比較した。次にAGPC法で細胞からtotal RNAを採取し、Gene Chip System(Affymetrix, Santa Clara, CA)を用いてDNAマイクロアレイ解析を行った。現在得られた5600遺伝子におけるデータを集計した。 現在、市販のデータベースソフトおよび表計算ソフトにデータを移植し、乱流性・層流性シェアストレス応答遺伝子それぞれにおいてup regulationおよびdown regulationしたもののリストを作成中である。さらにNCBI(National Center of Biotechnology Information)Gene Bnakを参照して、各遺云子の機能をしらべ、データの意味づけをおこない再検討していく。
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