濾液再生型血液濾過システムを構築する上で、本年度は既成人工肺を用いた純水回収実験を市販の人工肺を用い実施した。 1)予備実験1(膜濾過特性):体積変化量の変化量は10時間で僅か2mL程度であった。蒸発の影響もあると思われるが、本実験系における濾過の影響は無視して良いものと思われた。 2)予備実験2(サーミスタ温度計表示特性):使用した4種のサーミスタはいずれも良好な直線性と再現性を示しており、MD実験における回路内温度計として十分に使えることが確認できた。 3)予備実験3(実験回路内温度定常時間の検討):流量を100mL/minに設定した場合、100秒程度と短時間で回路内温度は定常に達してしていることが明らかとなった。 4)膜蒸留実験(温度変化):冷却液側供給温度を変化させたときの水分透過量を求めた。どの条件においても経時的な水分透過量は概ね比例的に単調増加しており、移動速度に依存しないことが明らかとなった。冷却液側供給温度が低い程、すなわち高温液側(血液側)との温度差が大きいほど、水分透過量は多くなる傾向が得られた。 以上の実験結果を基に、熱移動バランス、モジュール内平均温度差、総括伝熱膜面積係数を算出した。
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