研究概要 |
生理活性ペプチド配列とペプチド工学的要因を加味した生体機能模倣ペプチドを分子設計した。そして、組織工学用ハイブリッドマテリアルの創成を目的とし、ペプチド-合成高分子・天然高分子ハイブリッド体・バイオコンジュゲート材料の構築を試み、組織工学用Scaffoldの創成や細胞親和性の高い組織工学用3次元細胞培養床の構築原理の解明を行った。 具体的には、細胞接着・伸展・誘導活性部位のアミノ酸配列を含む分子を設計・合成し、さらには、ペプチド工学的要因であるβ-シート構造やα-ヘリックスによるコイルドコイル構造を組み合わせ自己集積化等を利用したペプチドハイブリッド体を効率よく合成した。そして、各種ペプチド構造体の構造解析と、構造活性相関機構の把握を通じて、組織工学や再生医工学への応用の有用性について検討を行った。 その結果、RGDSのN,C両末端にβ-シート構造を有する40残基程度のペプチドを合成したところ、設計通りにβ-シート構造を構築し、さらには水溶液中では不溶化し生体材料として有望であることが明らかになった。また、細胞接着活性を評価したところ市販の人工タンパク質と同等の接着活性を有し、伸展率においてはこれらよりも明らかに高活性のペプチドであることが明らかになった。 さらに、人工細胞外マトリックス構築のために、アルギン酸を用いたハイドロゲルの設計を行った所、アルギン酸の構造と架橋剤をコントロールすれば種々の含水率のゲルが調製できる事が明らかになった。また、ラットの皮下アルギン酸ハイドロゲルを埋入したところ約7日で分解し、炎症反応も少ないことが明らかになった。さらには、RGDSとアルギン酸を組み合わせ、in vivoにおいて軟骨再生能を評価したところ、RGDS未修飾のものより軟骨再生能力に優れていることが明らかになった。
|