研究概要 |
ティッシュ・エンジニアリング(組織工学)で重要となる細胞の増殖や分化の制御さらに細胞機能の評価を指向した人工細胞外マトリックス(足場材)としての刺激(光,熱,pH)応答性ポリマーヒドロゲルの開発に関する以下(1)〜(3)の基礎・応用研究を行った. (1)N-isopropylacryamide(NiPAAm)とO-methacryloyl-L-serine(SerMA)からなるヒドロゲルを調製した. 得られたゲルはpHによってイオン化状態が変化し,pHに対して膨潤状態が変化する応答性と温度を上昇させると収縮する応答性を認めた. (2)生体適合性材料N-2-hydroxypropylmethacrylamide(HPMA)とMMAのコポリマーをAr処理-ポスト重合法によってグラフトしたポリエチレンテレフタレート(g-PET-1)を得た.g-PET-1上,37℃でHeLa細胞あるいは3T3細胞は接着・増殖し,温度のみを25℃に低下するとそれぞれ接着細胞の54%,88%が剥離する未処理には認められない温度応答性を示した. (3)連鎖移動剤存在下,HPMA, MMAと銅クロロフィリン錯体(Chlph)の三元共重合によって末端にアミノ基をもつポリマーを合成したのち,メタクリロイルサクシンイミドとの反応から温度あるいは可視光応答性のマクロモノマー[Mac(HPMA/MMA/Chlph)]を得た.上記(2)と同様にMac(HPMA/MMA/Chlph)を修飾したPETを調製した(g-PET-2).発光ダイオード(LED)を照射下,g-PET-2上でHeLa細胞は接着・増殖し,光をOFFにすると接着細胞の73%(青色LED)および63%(緑色LED)剥離した.
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