平成15年度は、細動脈叢の可視化技術の確立と主冠動脈閉塞・狭窄に対する細動脈叢の密度、血流速度などの変化の検討に関しては、低音圧による心筋コントラスト法<以下MCE法>と微小気泡(YM454:開発名)を用いることにより可能となった。また、3次元の画像化により細動脈レベルの三次元映像を合成にも成功した。 具体的には、音圧(MI : Mechanical Index)を調整することで、血流速度の異なる動脈を観察することが示された。例えば、きわめて低い音圧(MI=0.1)では微小気泡がほとんど崩壊されないために、血流速度の速い心外膜側の冠動脈から血流速度の遅い末梢循環まで存在する微小気泡が描出された。しかし、少し音圧を上昇(MI=0.3)させると、微小気泡が崩壊し始める。血流速度の遅い末梢循環では、微小気泡の崩壊がその供給に間に合わず無くなってしまうために、反射信号はきわめて弱くなり、超音波では検出できなくなる。血流速度の比較的早い細動脈レベルでは、微小気泡の崩壊あっても、すぐに供給されるために、超音波で検出可能である。この方法を利用し、血流速度の異なる血管の描出に成功した。この成果は国内外の学会で発表した。 さらに平成16年度においては、微小気泡の数と反射超音波のパワー値(Acoustic Power : AU)が実験的に相関することが示されていることや心筋各部位のパワー値を近接する心腔のパワー値で補正することで、心筋に存在する心筋血液量を推定する方法を用いることにより、血流速度の異なる血管に存在する心筋血液量がある程度推定することに成功した。この方法により、末梢循環に存在する血液量は全体の約80%以上を占めることが推定できた。このことから微小気泡を用いて超音波法での照射音圧を変更することで、血流速度が異なる領域での心筋血液量をある程度推測することが可能であることが示された。この成果は国内外の学会で発表した。
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