研究課題
血管新生された肝腫瘍の腫瘍血管を映像化する手法を開発し、公表した(RSNA 2003-89th Scientific Assembly and Annual Meeting 2003.11-12)。造影超音波を用いる方法で、微小気泡が静注され肝動脈に到達するとき、リアルタイムの低音圧影像法で映像する。用いる影像法は位相を反転した2つのパルス波を送受することにより、気泡からの信号をよりS/N良く映像化するphase inversion harmonicという手法を用いた。さらに、高音圧で肝臓や腫瘍を環流する微小気泡を数フレームの高音圧送信で消失せしめ、その後に再潅流してくる微小気泡を映像化するreplenishment imagingという手法を導入した。さらに、その際ピクセル毎の最高輝度を保持し重ねて行く手法Micro Flow Imagingを開発した。これらの映像手法を用いてウサギに移植されたVX2腫瘍の腫瘍血管の映像化を行った。造影された腫瘍血管は、100μm径の微小血管まで連続性が良く造影された。また、造影される血流のパラメータを映像化するparametric imageを得た。これにより、環流速度、血管床の占める割合といった血流パラメータが半定量的に評価できた。腫瘍の新生血管は以下の特徴を有し、それを映像化し評価することによって、臨床の診断、治療評価に応用できると思われた。新生血管の特徴は、1)血管の空間的な分布が不均一であること、2)新生された腫瘍血管は、口径不整、屈曲蛇行などの形態的な異常が著しいこと、3)流速や血管床の割合などが増加することも低下することもあること、4)血流パラメータの空間的な分布が不均一であること、などである。これらの形態的異常とパラメータの異常とを、組織の血管新生の病理学的な所見と対比検討した。新生した血管が多い場合には、流速パラメータと血管床パラメータと相関していた(2004 AIUM Annual Convention. 2004.6.20-22・Arizona)。腫瘍性疾患の血管新生と超音波造影所見との対比検討がなされ、臨床応用への道が拓けた。
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