医用画像は動画として観察しているにもかかわらず、静止画の情報しか利用していないことが多い。我々は静止画では分かり難い僅かな変位も動画では認知できることを証明してきた。すなわち静止画では情報を棄ててしまっている。 そこで我々は動画で記録された上部消化管内視鏡画像から時間差による位置情報変化により、3次元計測と定量的3次元画像化を試みた結果判定量的に可能であった。さらにこの結果は、撮影条件の悪い現行内視鏡画像を基にしているので、時間差による視差画像ではなく複数のビジョンチップによる空間的視差から3次元再構成も試みた。そして消化管の粘膜の3次元計測の条件について検討した。 対象は上部消化管の内視鏡画像とデジタルカメラによる粘膜切除直後組織画像と撮影条件を最もコントロールし易い病理組織画像について100例以上の症例を対象にして検討した。そしてこの結果より消化管内部の構造に対するステレオマッチング法の精度と限界について様々な条件の下に検討した。その結果からステレオマッチング法はナビゲーションシステムとしては現状の内視鏡だけで利用可能である。さらに粘膜診断としては現状の内視鏡システムだけでは十分ではない結論に至った。
|