研究分担者 |
伊藤 秀美 東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (50005104)
森川 秀広 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (60302155)
今泉 敏 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (80122018)
坂本 幸 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (40004113)
為川 雄二 東北大学, 教育情報学研究部, 助手 (30351969)
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研究概要 |
口腔癌は舌を好発部位としており、舌を部分切除、半側切除、亜全摘出する患者が臨床上多く見られる.我々は、それら患者に対して舌切除部分を義歯床部で代償する時,パラトグラムを使ってその義歯床口蓋部を形態形成する手法を考案し臨床応用してきた.製作した舌接触口蓋床義歯は発音の改善だけでなく、咀嚼・摂食・嚥下機能も同時に改善し,患者の社会復帰への有用な手段となった.しかし,残存舌の時間軸を踏まえた改善のプロセス等は明らかにはなっていない.本研究は,この間の臨床成果を踏まえ,残存舌の機能改善の時間的変化を解明することで,発語に加えて嚥下・摂食障害をもつ咽頭部を含む舌切除した高齢・中途障害者を念頭に入れた新たなリハビリテーション法確立の基礎資料を得ることである.平成16年度は,舌の半側以上切除者を対象に,特にカ行音に障害をもつ患者や術後14年以上経過し,口蓋床義歯を3個以上作製した患者などを加えて,残存舌の調音に対する口腔,咽頭腔,喉頭の関係,およびパラトグラムを用いた機能評価と訓練への応用の有効性を調査した.以下のことが明らかとなった.1.舌を半側以上切除した患者に関して1)口蓋床義歯の口蓋部形態は左右の非対称的形態に加えて,すり鉢状の形態を示した者も見られた.2)術後14年以上経過中に3個,あるいは4個再製作した義歯口蓋部形態は,相対的に口蓋部が厚くなる傾向が観察された.2.咽頭部付近まで口蓋床義歯を延長することによりカ行音が改善した.3.摂食・嚥下障害の改善に口腔に装着した口蓋床義歯が有効であった.従って,嚥下障害などの機能障害に対して口腔部の役割が大きいこと,またパラトグラムによる訓練や評価法が有効であることが認められた.
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