研究概要 |
・脳出血モデルの作成と経過観察:Rosenbergらの方法に準じて脳出血モデルラットを作成した。手術後4週まで、Del Bigioらの方法で行動評価を実施した。出血から1,2,4週後には、深麻酔下にて脳を灌流固定し凍結切片を作成しH-E染色とGolgi-Cox染色に供した。行動評価の合計点数は脳出血後、1〜2週以内に大きく減少(機能回復)し、その後はあまり変化(改善)を認めなかった。H-E染色像では、術後1,2週で、注入側線条体の中心部に壊死巣がみられ、その周囲には炎症性細胞の浸潤、脳室の拡大がみられた。また、4週では壊死巣の組織が消失し、空洞化していた。Golgi-Cox染色による運動野樹状突起の観察では、注入後2〜4週で、非出血側で樹状突起の複雑化が認められた。先頂樹状突起の長さには差がなかった。 ・トレッドミル訓練による運動機能改善効果の検討:本モデルに出血後4〜14日にトレッドミル訓練(9m/min,30min/day)を負荷した。出血から2ないし3週の時点で、訓練を行わなかった群に比べ有意に機能改善を示した。 ・神経細胞障害の初期像(dark neuron)の経過解析:ラットの脳内(海馬)へ興奮性神経毒(イボテン酸)を注入する神経細胞死モデルと長時間の水泳ストレス負荷を与えるストレス障害モデルにおいて、DNが出現することを確認し、免疫組織化学と電子顕微鏡を用いて、これらのDNの経過を解析して細胞死との関係を明らかにした。この結果から出血モデルに対し早期から運動刺激が与えることが神経機能の回復に悪影響をもたらさないか、今後dark neuronの解析を含めて検討したい。
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