研究課題
臨床研究Steroid治療中の患者群と健常者の腓腹筋のT2緩和時間は、36.4±2.43ms/30.7±1.10msで、両者に有意差(p,.05)を認めた。ヒラメ筋のT2緩和時間は、36.8±2.47ms/33.5±1.66msで、両者に有意差を認めなかった動物研究Steroid剤の投与を行ったウサギでは、腓腹筋(速筋)のT2緩和時間は有意に増加したが(24.6±1.9ms/29.7±1.8ms)、ヒラメ筋(遅筋)では有意な変化は認められなかった(33.0±1.4ms/33.8±1.3ms)。生理食塩水を投与した対照群では腓腹筋(25.4±1.9ms/25.7±1.2ms)、ヒラメ筋(32.0±1.4ms/32.3±1.4ms)ともに有意な変化は認められなかった。筋肉内の脂肪含有量には、steroid投与群、対照群ともに変化はなかった。T2緩和時間延長の原因を探るために、MR検査後、液体窒素を用いて筋肉を凍結し、凍結切片のHE、NADH-TR染色を行った。その結果、steroid投与群では速筋に多く分布する2型筋線維径が萎縮し(55.6±6.9μm/40.8±2.5μm)、細胞外液量比(0.048±0.007/0.142±0.002)が増加していることがわかった。遅筋に多く分布する1型筋線維の太さ(57.7±2.9μm/56.1±3.7μm)には有意な変化は認めなかった。2型筋線維が多く分布する腓腹筋では、steroid投与による2型筋線維の萎縮により細胞外液の割合が増加し、その結果T2緩和時間が延長したものと考えられる。1型筋線維が多く分布するヒラメ筋では、萎縮の影響は少なく、T2緩時間にも変化が生じなかったものと考えられる。速筋におけるsteroid myopathyの指標として、T2緩和時間は有用であるとの可能性が示唆された。現在、ADC(apparent diffusion coefficient)についても検討を行っているが、MRI装置の傾斜磁場の関係でTEが十分短くできないため、S/Nが低下してしまい、調整を重ねている。