研究概要 |
冬期間,圧雪,凍結路面での歩行を強いられる地域では,滑りやすい路面における歩行を考慮した義足構成品の選択が必要となる.今回,大腿切断者を対象に,異なる膝継手,足継手・足部の組み合わせでの歩行実験を施行し,どのような組み合わせが冬期間有効であるか模擬凍結路面を作成し検討した. 対象は中断端大腿切断者で,既存の膝継手5種類(3R15,3R106=1,3R95,3R60=1,CLEG)と足継手・足部4種類(1D10,1D25,C-walk, LuxonMax)の組み合わせにより,歩行実験を施行した.模擬凍結路面は,実際の凍結路面を想定し,ビニールシート上にオリーブオイルを塗布して作成した.さらに滑りやすくするために靴は市販のバレーシューズを使用した.歩行路上にビニールシートを設置し,VICON512(カメラ6台)とAMTI床反力計にて歩行データを採取した. 統計処理は,自由歩行にて1歩行周期,ストライド長,歩行速度に関して,それぞれの膝継手と足継手・足部の組み合わせで二元配置分散分析を施行し,有意差のある因子に関して多重比較検定を組み合わせ間にて施行した. 統計学的結果と歩行中の関節角度変化からbouncing機構を有する膝継手では立脚相での膝継手の軽度が可能であり,また,足継手・足部の可動域が広いものほど模擬凍結路面上の歩行が安定しており,これらの組み合わせが凍結路面上の健常者歩行パターンに類似していた.
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