研究概要 |
研究II:エコーロケーションによる開口部の定位が姿勢制御に果たす役割 ○システムの構築 目的:エコーロケーションによりあたかも眼前に開口部が存在するかのように定位できるシステムを構築した. 方法:無響室内に,被験者を中心に3m間隔で前方及び後方左右に2個,計4個のスピーカを配置した.完全反射を仮定し,対角線上に直接音源と反射音源をシミュレートするスピーカからピンクノイズを発生させた.これにより前方左右に仮想壁を提示した.さらに,開口部を示すために,被験者の前方に環境騒音用のノイズを発生させた. 評価実験:盲人の被験者に開口部を提示しそれを認知できるか否かを求めた.さらに,聴取時の姿勢の動きを測定した.その結果,仮想開口部の認知は今回作成したシステムでは容易ではないことが示唆された.これを支持するように,姿勢動揺は仮想開口部の動きと相関を示さなかった. 実環境では反射面の有無は先行音効果のみならず,反射音の強さ開口部における音の聞こえの差異などが重要な役割を果たしている.それらの変数を組み込んでいないため,開口部の認知に失敗したと考えられる.今後は仮想開口部提示システムのさらなる改善を行うこととする.
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