本研究の目的は救命救急センターに入院した脳外傷患者に対して早期から適切なリハビリテーションを行い、その効果について客観的に証明した上で、リハビリテーション施行後の予後予測、回復期リハビリテーションとの連携を円滑に行うことである。 今年度は、まず昨年度に作成した評価表に基づき、昨年度より症例数を増やして救命救急センターにおける早期リハビリテーションの効果について検討した。またその結果の一部を平成16年6月2日から4日に開催された第41回日本リハビリテーション医学会のシンポジウム「脳外傷のリハビリテーション」のシンポジストとして報告した。さらに雑誌リハビリテーション医学に今回の結果から得られたリハの効果、患者に対する対応、リハスタッフのチームワーク、回復期のリハビリテーション病院との連携について報告した。 次に当院を退院してその後に回復期にリハ専門病院で十分なリハを行い、自宅退院した患者に対するデータベースを構築した。さらに可能な症例については就労・就学との関係についても検討した。症例数が十分ではないため今年度は紙面・学会等での報告は行わなかったが、来年度に報告する予定である。 また平成16年9月に米国バージニア州にあるバージニアコモンウェルス大学医学部リハビリテーション科を訪問し、米国のモデルシステムについて見学するとともに、約1時間の講演を行い、意見を交換した。その中で特に高次脳機能障害に対する早期からの心理的アプローチの重要性を認識し、今後の研究に活用することとなった。
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